世界野球ソフトボールデーは、世界の野球・ソフトボール界全体にとって記念すべき日です。この日は、私たちの愛する競技の祭典を意味するだけではなく、2014年の国際野球連盟と国際ソフトボール連盟が合併して世界野球ソフトボール連盟（WBSC）が設立されてから迎える10周年を記念する日でもあります。
長年にわたり、野球とソフトボールは国境や文化を超え、世界中の地域社会に根付いてきました。わたしたちは競技をグローバルに振興するためこれまで懸命に取り組んできました。WBSCの下、1つにまとまった世界的な運営組織として、私たちは共に目覚ましい発展を遂げてきたことを誇りに思います。
「世界野球ソフトボールデー」は、世界中のアスリート、コーチ、関係者、ファンのみなさまの揺るぎない献身の証です。地理的、文化的な違いに関係なく、私たちを結びつける情熱と友情と信頼を祝う日なのです。これからも5月10日は、私たちの競技と団結を称える機会として永遠にその役割を担うことでしょう。
過去10年間を振り返ってみましょう。まず、私たちは野球とソフトボールが東京2020オリンピックの舞台に凱旋するさまをこの目で確かめました。そして、2028年のロサンゼルス大会でも、私たちの競技が再びオリンピックに戻ります。これは間違いなく特別な瞬間であり、私たち全員が楽しみにしていることでしょう。
さらに、国際大会のプレミア12を設立したり、革新的な大会形式や新たな年齢部門の大会を導入することで、私たちの競技をこれまで以上にインクルーシブなものにしてきました。今年、プレミア12は3回目の開催を迎えますが、日本では初のeプレミア12も開催される予定であり、eBaseballの新しいスターたちが世界の舞台で直接対決することになります。これは、WBSCの先進的で革新的な考え方を持っていることを示しています。
ソフトボールもさらに発展を続けています。昨年から2ステージ制が導入されたことで、この種目の世界最高峰大会はより多くのチームと開催都市に門戸を開き、情熱と競争力を高めています。
この節目で注目すべきことのひとつは、新たに種目が増えてWBSCファミリーが広がり、わたしたちの競技ももっとアクセスしやすくなったことです。こうした革新的な種目が増えてましたが、中でもベースボール5はダイナミックなアーバン型の種目として愛されています。そのシンプルさ、多用性、アクセシビリティという特徴で、ベースボール5は世界中の新しいコミュニティへ広がっていきました。
さらに特筆すべきは、ベースボール5がヨルダンのアズラク難民キャンプをはじめとする難民や避難民の間に浸透していることです。今年で同プロジェクトは1周年を迎えました。
最近では、テコンドー人道基金（THF）開催の第3回「希望と夢のスポーツフェスティバル」にも参加し、ベースボール5が子どもたちの生活に大きな影響を与えていることを改めて目の当たりにしました。
私たちの目標は、ベースボール5が初めて実施される2026年のダカール・ユース・オリンピックに難民チームを参加させることです。
世界野球ソフトボールデーを祝うこの日、私たちは、私たちのスポーツにおける革新とインクルーシブの力の証であるドキュメンタリー映画「#PLAYEVERYWHERE」についてもスポットライトを当てたいと思います。このドキュメンタリーは、ベースボール5の発展を紹介するだけでなく、私たちのコミュニティの定義ともいえる、チームスピリット、友情、多様性、そして楽しさという価値観を強調しています。
先ほどWBSCの主な原動力の一つとして革新的な種目拡大について触れましたが、WBSCはさらにオリンピック・バーチャル・シリーズとオリンピックeスポーツ・シリーズへの参加を成功させ、オリンピック・ムーブメントにおける先駆的な連盟としてeスポーツ界をリードしています。史上初のバーチャルカップでは世界中で8,000人以上の参加者が集まり、若い世代が野球やソフトボールに参加する機会も増えました。
また、WBSCはブラインド・ベースボール・インターナショナル・カップといった新しい大会や、知的障害者のための車椅子ソフトボールやベースボール5のような種目を推進することで、パラリンピックの分野でも新しい機会を提供しています。
ひとつの統一団体として、私たちはフィールドの外でも戦略計画2022-2028を指針として前進しています。これには、グッドガバナンス、透明性、持続可能性、そして野球ソフトボールの世界的な成長へのコミットメントが含まれています。わたしたちは、強く結束力のある世界へと貢献しながら、より良いWBSCを目指します。
友人、同僚のみなさま、そして世界の野球・ソフトボール界全体とともにこうして「世界野球・ソフトボールデー」を祝えることを光栄に思います。これからも競技への情熱を分かち合い、何世代も続く競技の未来を作るために取り組んでいきながら、みなさまと新たな歴史を切り開いていきましょう。
